毛髪には4つの結合があります。
ペプチド結合。シスチン結合。水素結合。イオン結合。
これらは毛髪の形を作るのに関わっています。ブローで癖を伸ばしたり、パーマで形を作ったり、寝起きで毛髪が跳ねていたり。この全てに結合が関係しています。
ペプチド結合
毛髪はケラチンタンパク質で構成されています。もっと拡大してみると、このケラチンはアミノ酸で構成されています。
アミノ酸とアミノ酸を繋いでいるのが『ペプチド結合』です。
アミノ酸同士がペプチド結合で連なり、長い鎖状になっているのが『ポリペプチド鎖』。
よくトリートメントに『ppt配合』というのを見たことがあると思います。
このpptというのはポリペプチドの意味です。
ポリペプチドとは、多数のアミノ酸がペプチド結合によって連なった化合物の総称です。
※通常は、分子量が100以上~1万以下のものをポリペプチド→要は小さい塊。分子量が1万以上から数百万までの高分子化合物をタンパク質といいます→要は大きい塊。
毛髪はケラチンという高分子化合物であるタンパク質でできています。
このケラチンはポリペプチドが集まってできています。
トリートメントのコラーゲンpptやケラチンpptというのは、とってもとっても小さいので、ダメージで損傷した毛髪の内部の小さな隙間を補修できるということです。
話を戻しまして。
なぜこんな分子レベルの話をしているかというと。
このポリペプチド鎖とポリペプチド鎖を繋いでいるのが『シスチン結合』『水素結合』『イオン結合』だからです。
ペプチド結合は後述するシスチン結合、水素結合、イオン結合と異なり、一度切断されると二度と戻りません。切断されると枝毛などといった状態になります。切断に至る原因としてはカラーやパーマなどの繰り返しによるハイダメージです。
そもそも結合ってなに?
図では分かりやすく一本の毛に結合を書いていますが、この結合たちは毛髪内部のポリペプチド鎖とポリペプチド鎖を繋いでいるものです。
なので、非常に小さな世界での出来事です。
結合ごとに『なにで切断』『なにで再結合』が分かれているので、美容師はこの結合の種類を使い分けてヘアースタイルを作るのです。
この結合たちの切れやすさ。
水素結合>イオン結合>シスチン結合>ペプチド結合
水で切れる水素結合。phの変化で切れるイオン結合。還元剤で切れるシスチン結合。毛髪を構成しているペプチド結合。
また、切れやすい=癖をつけやすいとも言えます。
パーマ(シスチン結合)をアイロンで伸ばす(水素結合)ことができるのは、切断のしやすさが関わっているからです。
シスチン結合(ジスルフィド結合)
シスチンとは毛髪を構成しているアミノ酸の一種です。このシスチンは毛髪の弾力性、可塑性、強度といった性質を与えています。
機械的にとても強い結合で、普通に生活している分には切れたりすることはありません。
シスチン結合はパーマ液や縮毛矯正で使う1剤に入っている還元剤で切断することができます。再結合は2液の酸化剤で行います。
パーマや縮毛矯正がシャンプーをしてもカールや直毛を維持できるのは、シスチン結合が薬品でないと切断できないからです。
ちなみに、どんなに強い薬品を使ってもシスチン結合は20%までしか切断できません。
イオン結合(塩結合)
ポリペプチド鎖を電気的(イオン的)に繋いでいる結合です。
シスチン結合同様、毛髪の強度に関わっています。
ph4.5~5.5が最も結合力が強く、phが大きく傾くことにより切断されます。
イオン結合はシスチン結合同様パーマ、縮毛矯正で活躍します。
パーマ液に入っているアルカリ剤でphをアルカリにもっていって切断し、酸化剤でphを戻すことで再結合させます。
水素結合
水分、熱で切断され、乾燥、冷却により再結合します。毛髪の弾力や強度に関わっています。
水素結合は、ブローやアイロン、コテ、寝ぐせなど生活しているうえで最も関わってくる結合です。
濡らして結合を切断し、ブローで真っすぐにしたりカールさせたりといったことは水素結合によるものです。
アイロンやコテも熱を使って結合をいじっています。
水素結合はシスチン結合、イオン結合に比べると非常に弱い結合です。しかし、結合数がとても多く、しっかりかかったパーマ(シスチン結合)でさえアイロンなどで上書きできてしまいます。ただ、水で簡単に切れてしまうため、シャンプーなどですぐにパーマ(シスチン結合)は復活します。
水素結合の使い方(熱の使い方)の注意点についての記事もあるので、気になる方はこちらもどうぞ。
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