白髪を抜く!? 絶対に抜いてはいけません!! 抜いた際の危険性について

元美容師の豆知識

 女性の敵でもある白髪。もみあげからチラリ。生え際からチラリ。後頭部のあたりからチラリ。

 本当に嫌ですよね。

一本だけしか生えてないし抜いちゃえ!

ななほしとろろ
ななほしとろろ

ストップ! ストップ! ストーップ!!

ダメですよ! 絶対にダメ! 絶対に抜かないでください!

また生えてくるから大丈夫でしょ?

ななほしとろろ
ななほしとろろ

確かに『今はまだ』生えてくると思います。でも、この一回を重ねると……。その部分から毛が生えなくなります。冗談でなく、本当に生えなくなります。その部分だけハゲてしまいます。

え……

ななほしとろろ
ななほしとろろ

一本だけなら根元からハサミで切って下さいね。部分的にまとまって白髪が生えているなら部分染めをお勧めします。オシャレ染めの方でもカラーの技術で部分的な白髪染めもできるので、安心してください。

ぬ、抜くのはやめます。ハゲるのは怖いです……

  はい。今回は白髪を抜いてはいけないということにポイントを当てていきます。

基本的には抜いてもまた毛は生えてきます

 髪の毛というのは毛穴の中にある『毛母細胞(もうぼさいぼう)』が作り出しています。

 毛母細胞は『毛乳頭細胞(もうにゅうとうさいぼう)』から養分を受け取り細胞分裂を繰り返します。これが髪の毛です。

 もし毛を抜いたとしても毛乳頭細胞が活動を続ける限りまた毛は生えてきます。毛母細胞は毛乳頭細胞が生きていれば、再生するすることが可能だからです。

 しかし、この毛乳頭細胞が何らかの原因で死んでしまった場合毛母細胞は再生されず、もう生えてはきません

 この原因には

  • 毛を引く抜くことによる毛乳頭細胞の損傷
  • レーザー脱毛(永久脱毛)による破壊

 などがあります。

 レーザー脱毛は、これらの細胞を破壊することで永久的に毛が生えないようにしているわけです。

 抜くことによる損傷は、よっぽどなことがない限りありません。しかし、可能性はゼロではありません。実際に抜き続けたことで生えなくなってしまったお客様を見たこともあります。

 このお客様は、若いころ右側のもみあげに白髪が数本生えてきて、それを抜き続けていたそうです。最初は気にならなかったそうですが、気づいた頃には右側のもみあげがなくなっていたとのこと。

 ちなみに左側のもみあげはしっかりと生えていましたが、右側はツルツルの状態でした。

抜くと雑菌が入って炎症をおこす可能性も

 皮膚や毛穴には常在菌がいます。常在菌は外的な刺激から皮膚を守ってくれています。しかし、体内に入ると悪さをすることもあります。

 毛を抜いたことで毛穴が傷つき、そこから菌に感染してしまうという流れです。

 表皮や毛穴には

  • 表皮ブドウ球菌
  • アクネ菌
  • 黄色ブドウ球菌

 などがいます。

 表皮ブドウ球菌

 皮膚表面や毛穴に存在している菌です。表皮ブドウ球菌は肌を弱酸性に保つという働きをしています。皮膚のバリアの役目を果たしています。

 しかし、損傷した毛穴から入り込むことで化膿症をおこす危険性があります。

 アクネ菌

 アクネ桿菌(かんきん)とも言います。ニキビの原因として有名です。アクネ菌は酸素が苦手なため毛穴の中に常在しています。表皮ブドウ球菌と同じようにバリアの役目を果たしています。

 しかし、何らかの原因で毛穴が塞がってしまった際に、大量に増殖します。この増殖した状態がニキビです。

 例えば、毛を抜いた際に少し血も出てしまったとします。その血が固まった時に毛穴を塞ぎアクネ菌が増殖して炎症をおこしてしまう。といった可能性が出てきます。

 黄色ブドウ球菌

 皮膚に常在している菌で、非常に病原性が強いです。傷口に溜まる黄色い膿は黄色ブドウ球菌の塊です。

 黄色ブドウ球菌によって毛穴が感染した場合、伝染性膿痂疹(でんせんせいかのうかしん)といって瘡蓋(かさぶた)ができます。この瘡蓋をシャンプーの際に爪で破ってしまった際に、他の皮膚にも触れると伝染していく可能性があります。さらに、もし膿に触れた手を口に運んでしまったりしたら食中毒になります。他にも様々な病気に発展する恐れがあります。

 非常に危険な菌です。


 ただ『毛を抜く』という行為から始まる様々な危険性を分かっていただけましたか?

 毛が生えなくなる可能性以外にも、菌による悪さを招く可能性があるんですね。

 白髪だけではなく、髪の毛を抜くというのはやめましょう。

コメント